「すっぽんがめ煮|福岡、西中洲の和食、日本料理 ゆるり」


■2015/06/14 すっぽん がめ煮
すっぽんがめ煮

「おいおい、がめ煮?家庭料理やん」

とか思ったりする方もいると思います。

この時期になると、石川小芋、新蓮根、新牛蒡、五山竹といった野菜がとても美味しそうですね。この材料をみると「あー、がめ煮」と思ってしまいます。
鶏でも良いが、「いやいや、リアル追求でしょ。」ということで「すっぽんがめ煮」。

あえて「筑前煮」ではなく「がめ煮」。
がめ煮は甕で炊いたからとか、朝鮮出兵の際に、すっぽんで煮しめを作ったことから「亀煮」が「がめ煮」になったなど諸説あります。どちらにしろ「郷土料理」「家庭料理」の色合いが強いお料理です。
しかしながらシンプルにして技量が問われる一品。
板前が作るとなれば「お袋の味」とかナンセンス。それならばご家庭で食べていただいたほうが良いし、おばあちゃんには絶対に勝てない、これは確実に間違いないことです。

まずはすっぽんを四つ解きにする(つまりばらす)。薄皮をはいだ後酒と水で炊いて出汁をとります。

すっぽんは天然と養殖があるが甲乙付け難いものです。天然は個体差が大きくきちんと選ぶ必要があり、はずれを選んでしまうと「あぁー、なんだかねー・・・、そんなに美味くねー」とかなってしまいます。養殖については近年のものは臭みもなく、旨味も良い。多少力強さに欠けるものもあるが平均してはずれは少ないように感じられます。京都の老舗すっぽん専門店はすべて養殖を使っているところもあるくらいで品質的には天然にも引けをとりません。どちらにしろ甲が高く、手足のしっかりと太ったものを選びたいものだ。

すっぽんの出汁をとりながら、野菜の下拵えをしていきます。
芋は六方に、蓮根、牛蒡、筍、人参は大きさを揃えて乱切りに。軽く下茹でをし水を切っておきます。蒟蒻は別に下茹でして、干し椎茸は水戻しし適宜切っておきます。戻し汁は炊く時に加えるので捨ててはいけません。
すっぽんの出汁が取れたら身を取り出し、骨を抜き取ります。小骨が残らないよう、身がぼろぼろにならないように魚用の骨抜きなどでとると良いですね。

鍋を火にかけ野菜、椎茸、蒟蒻を炒めますが、サラダ油は仕上がりの味が何となくぼやける感じ、普通の胡麻油では主張が強い感じになるので少量の太白胡麻油を使うようにしています。材料に油が回ったらすっぽんの出汁、椎茸の戻し汁を加え、味醂、三温糖を加え強火で炊いていきます。すっぽんの出汁は甘みが強い事を考えて調味料は加減しましょう。後にすっぽんの身を加え、薄口にて味を整え、仕上げに濃口で味を締め完成。

ポイントは「椎茸も戻し汁」だったりします。あとは「下拵え」を怠らないこと。水煮の「がめ煮野菜ミックス」を使う場合でも一度下煮をして水でさらすだけで薬品臭さがとれて味が多少良くなります。

鶏とはまた違ったコクがあってやはり美味い。特に野菜が何とも言えない感じです。別々に炊いて合わせる「炊合わせ」では出せないそれぞれの野菜の旨味、すっぽんの旨味が渾然一体となった味もまた良いものです。お上品ではないかもしれないが美味いものは美味い。「食」とはそれに尽きると考えています。

追伸:つまみ食いが一番美味い。これまた本質(笑)

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