不便な物が大好きだ。:福岡、西中洲の和食、日本料理 ゆるり


便利な世の中になりました。便利そして効率的とでも言えばいいのですかね。

インターネットの普及が革新をもたらした、スマートフォンが拍車を掛けた、なんて言われて久しいですね。何でもネットで買えますし、近くのコンビニに行けば大体何でも揃います。時間を無駄にしないといえばそうだと思います。

しかし、自分は

「不便な物が大好き」です。

不便?って何かというと、例えばですね、

「仕入れは目で見て選ぶ事」

何件も回ります。全然効率的ではありません。FAXで注文、届けてもらう事もできます。便利ですが、見て、触って、業者さんと話をして・・・。時間は掛かりますが選ぶところは自分でやります。届けてもらう事もあまりないです。

「ご飯は羽二重の土鍋でお席毎に炊くこと」

ジャーで予約人数分炊くこともできます。時間予約もできて便利です。最近のは賢いので美味しく炊けるものもあるのは分かってますが、最初のお客様だけ炊き立てというのも味気ないです。どのお客様にも炊き立てを、と考えるとその都度時間を見計らって食事のタイミングにあわせて炊く。効率のへったくれもありません。「炊き立て、美味いやん」それだけです。

「炭火、上火を使い分ける事」

最近ではボタンひとつで何でもやってくれる便利な調理機器もあります。簡単に言えばちょっと大き目のオーブンレンジ(ヘルシオとかそんなやつ)のプロ飲食店用です。たまにセールスの人が来ます。「何でも美味しく焼けますよ」「焼物も蒸し物もできますよ」「低温調理もできます」と言われますのでこう応えます。「俺が焼いたうなぎより美味く焼けるなら買いますよ」と。うなぎなんてものは「炭火で焼くから美味く感じる」と思いませんか?オーブンで焼いた焼き鳥と炭火焼きの焼き鳥どっちが食べたいですか?って話です。逆になんでも炭火で焼けば良いわけでもないです。脂が多い魚とかは炭火で変に薫燻香が付くと魚の風味が感じられません。ならば上火で脂を程ほどに落としながら薫燻香が付かないように焼いて、必要があれば仕上げに炭火で香りをつけるという方法もあります。そういった使い分けも調理法のひとつです。

「不便とか非効率とか知りませんし、気にもしてないです。美味しく作れるからこうやってます(笑)」

本当のところはそれだけです。時間とか手間とかは「掛かってしまった」という結果論としか考えていません。

結論、便利でも不便でも良いんです・・・。どちらにしろ料理は美味しく作りたいし、美味しいものを食べていただきたいですね。