・基本的にはその個体が持つ酵素によってタンパク質が分解され、アミノ酸〔旨味成分)に変化した状態。生物学的に言えば「自己消化」。
熟成と一言で片付けられているが、今のところ正確なガイドラインや取り決めはないようだ。ドライエイジングはさておき、「熟成って」とか思ってしまう。
例えば、干物。あれ熟成。鮪の刺身、あれも熟成。
想像してみよう。「活き鯵の姿造り」。
「身がぷりぷりして美味しい」
「まだ身がぴくぴくしてる。」
それ、鮪だったらどうなる?ゴムや、ゴム!!
だって、100kとかあるんだよ?味もしないし、肉も硬い。自己消化が進んでいない、タンパク質(筋繊維)が分解されていない状態なのでそりゃそうだ。
牛も然り。普段食べている肉もちゃんと熟成させています。なので「熟成」なら何でもいいならその辺の肉でよくねーかと。
つまり、今流行の「熟成」とは本来は「ドライエイジング」の牛肉を指す訳で、「ウエットエイジング」「枝肉の枯らし」ではないということだ。
上記の「熟成方法」にはどれも利点がある。
しかし、どの方法もそれなりに手間がかかる。
とくにドライエイジングは早々簡単にはできない。
どこかの地方番組で
「自家製のドライエイジングの肉です」
といって出してる店があったが、
「いや、それは腐敗やろ、あきらかに」
という画面越しにでもわかるものもあった。
糸ひいた、やや緑色の肉を「熟成」と言い放つその根性とそれを食べたリポーターさんには頭が下がるし、流行とはそういうことだとも思ってしまう。
さて「熟成」で得られる効果とは、
・タンパク質を分解して旨味にかえる。
・と同時に肉質を柔らかくする。
・水分を抜くことで(ウエットでも多少は抜ける)
旨味を凝縮し味を深くする。
といったことになる。 では、どうするか?
「発酵」・・・「熟成ではないのか!!!!!!!」
分解、旨味、水抜きの要素を要約すれば、
発酵でも似たような効果を得ることが出来るのではないかと。ただし、「ドライ」ではないが・・・。
と、いうわけで「鹿肉を糠床につけてみる」
良い感じになったら冷蔵庫で干してみよう。
ドライに近付くかもしれんし。
日本料理的には「へしこ漬」と「塩鰤」をつくる技術の合体といったところか。とにかくやってみよう。
魚の熟成に関してはまたの機会に。
しかし、熟成だから美味いではなく、美味しくするために熟成させるわけで。それに何でも「熟成」させれば良い訳じゃないのにね。食材の向き不向きもあるんだから。
追伸:ご家庭でのドライエイジングに挑戦とかダメですよ。かなり危険です。お腹イターイですめばいいですが、最悪のケースもありえます。
TEL:092-725-6870(完全予約制)
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