天然寅河豚の季節になってきました。
やはり河豚は寒くなってからが美味い。
と個人的には思います。
身の締まり方が違うと言うか、旨味が違うというか。
寅河豚は春に産卵するので秋、冬から旨味を溜め込んでいるからだと思いますが、
「脂がのって美味い」という魚ではありません。
旨味は純粋なアミノ酸の旨味です。
河豚を美味しくするためには
河豚刺し、鍋、唐揚などどれもそうですが、
1、イケテル河豚を選ぶこと。
デブは駄目です。特に天然はよく泳ぎ回って身が締まったアスリートっぽいやつがいいです。脂の旨味は全くない、筋肉を食べるのでそりゃ、ニートよりアスリートでしょう。
2、旨味を引き出す時間を取ること。
「熟成」という言葉は最近食の世界ではお店側、お客様、双方である程度認知されてきました。熟成肉とか熟成寿司とか。但し、胡散臭い「熟成OO」も沢山あるのでご注意を。
サラシできつく巻いて、水分を取りながらタンパク質を分解(自己分解)させて、アミノ酸、旨味成分に変成させる時間が必要です。大きさ、見質によっても時間は違いますが、最低24時間はほしいところです。
3、身質にあわせたポン酢を作ること。
「河豚なんてポン酢の味しかせんやんけっ」って人もいますが、そういう方は一度ポン酢なしで食べてみてもいいと思います。ちょっと塩をもらうとか。まず、河豚の旨味を感じていただければポン酢をつけて食べた時の美味さも格別だと思います。
当たり前ですがゆるりもポン酢は手合わせです。身質にあわせてちょっとずつですが微妙に味付けを変えています。基本的には「河豚の味を整える程度」の味を目指しています。
4、鍋の出汁は沸かさないこと。
グラグラと煮立った鍋の方が「鍋食べてる感」はありますが、河豚は美味しくなくなります。何度も書いていますが、脂のない筋肉の塊なのでゆっくり火を通して身が固くならないようにしてください。強火で炊くと本当にパサパサになってしまいます。そうなると台無しです。
また、河豚出汁に野菜の風味が強く移ると「河豚の風味が負けてしまう危険性」を考えて、灰汁の出やすい白菜、春菊は事前に火を通してご用意しています。特に春菊。春菊臭い、あ、言い方悪いですね、河豚出汁に春菊の風味や香りは必要ないので先に湯がいて灰汁抜きしておきます。
そして念には念を入れ、雑炊用に別に河豚出汁を用意する、ところまでやります。鍋の残りの出汁の状態をみて調整して雑炊を作ります。そしてあまり美味しい玉子を使わないようにしています。一歩間違うと「河豚雑炊」ではなく「玉子雑炊」になりかねませんから。
河豚押しですがゆるりは「河豚料理屋」ではありません。
河豚美味いですよっていいながら、
当店は河豚専門店でもなければ河豚料理屋でもありません。
普通の「日本料理屋」「会席料理屋」です。
むしろこっちが本流というか、本職です。
会席に河豚刺し入れて下さい、もアリです。
但し、養殖か天然かはご相談ください。養殖でも天然には少し及ばないですがしっかりと旨味を引き出せばやはり美味しいです。寝かせる時間が必要ですので「美味しい河豚」を召し上がりたかったら早めにご予約してくださいね。
最後に大切な事をお伝えします。
年末に河豚を食べたいとお考えの方、正直に言いますよ。
天然寅河豚は時価です。去年か一昨年かは忘れましたが、仕入れ値が一キロ5万円なんて年もありました。ちょっと覚悟が要るかもしれません。早めに相談、早めのご予約をおすすめします。間違っても「時価でしょ、いくらでもいいよ」なんて言ってしまったら大問題を引き起こすかもしれません!そういう時は時期をずらすか、養殖で我慢しましょう。
上限のご予算をお伝えして天然、養殖を上手く混ぜてもらう、刺身は天然、唐揚や鍋は養殖でも可、といったご要望をお伝えするといいかもしれません。
河豚でも会席でもドンと来い、です。
ご予約ご相談はこちら 092-725-6870 ゆるり まで。