「鰹のお話 :福岡、西中洲の和食、日本料理 ゆるり」


タイトルそのまま「鰹」のお話です。

「鰹が高値です」というニュースを結構な頻度で見かけます。正確には「本鰹」ですが確かに良質なものはかなりの高値で、とある鰹節メーカーは10%ほど値上げするそうです。

「かつお」にも種類があります。

本鰹、スマ(ヤイト)、ハガツオ、ソウダガツオ、正確には鰹ではありませんが、本鮪の幼魚の横輪も小さなものは鰹的な扱いをされることもあります。

スマは水揚げの少ない魚といわれていますが、最近では愛媛県と愛媛大学が共同で完全養殖に成功しまた。また和歌山でも養殖されており一部の地域では一般販売もされています。血合いも少なくきめ細かな身質で筋も少なくクセも強くありません。養殖の物は「黒鮪の代替魚」などと言われることもあります。個人的には鮪とは全く別物ですが、養殖すれば脂も簡単にのせることができるので鮪みたいな魚にはなるとは思います。

ハガツオはやや白身よりというかやや白っぽい身の色(ピンクっぽい、真っ赤ではないと言う感じ)でモチモチした食感です。たたきや焼霜よりも刺身が美味しいように思います。これも血合いが少なく鰹独特のクセ、臭みが無いので苦手な方は少ないようです。

ソウダは生食もいけますが、こちらではあまりお刺身で使ったりはしません。ソウダのたたきが一番美味しいという方もいらっしゃいますが、馴染みがあるのは「そうだ節」というソウダの鰹節の方かとも思います。チャンスがあれば生で使ってみたい食材です。

最後に本鰹。苦手な方もいらっしゃいますが、個人的には「カツオと言えば本鰹」です。

船内で加工冷凍のものもありますが、やはり生が一番です。目利きはかなり難しいですが良い鰹は本当に最高です。ルビー色というか艶と透明感のある赤身、青み掛かったパンッと張った背の皮目、くすみも無く輝く銀色に輝く腹身、想像しただけでワクワクします。

鮮度が良い物は血合いをつけて料理する方もいますが、ゆるりでは血合いは綺麗に取ってしまいます。独特のクセの原因でもありますし、その方が鰹本来の赤身の味わいがダイレクト楽しめます。基本的には背身はたたき、焼霜といった直火で炙る料理に、腹身は色を活かした銀皮造りにすることが多いです。どちらも打ち野菜をたっぷり添えてポン酢で召し上がっていただきます。さっぱりですが鰹の力強さが印象的で季節を感じられる一皿です。

鰹は特に鮮度が命です。少し時間が経つと独特のクセは強くなりますし、一番やっかいなのは色が悪くなる事です。ちょっとでも色がくすむと美味しさ半減というより、全く美味しいそうではなくなってしまいます。中々目利きも管理も難しい食材です。

そろそろ鰹も名残の時期でしょう。是非今の旬を感じながら召し上がっていただきたいと思います。鰹の時期が過ぎていくのは名残惜しいですが、次の旬を考えるとそれはそれで楽しみです。鱧や鮎、伊佐木なども良いですね、夏は目の前です。