質問です。あなたは「お料理の説明」を
食べる前に聞きたいですか?食べた後に聞きたいですか?
「説明を聞いてから食べると美味しさ倍増!」の方もいらっしゃれば、
「ネタばれは嫌だな、何だろう?そうなんだ!を楽しみたい」の方もいらっしゃいます。
どちらも正解と言えば正解ですね。なので召し上がっている最中に説明するのがベストかもしれません、そもそも説明すらいらない方もいらっしゃいます(笑)。なかなか白黒つけ難い問題ですし、曖昧でよい問題だとも思います。質問したくせに答えが「曖昧でよくない?」ではまずいですね、すみません。どちらにしろ「楽しく召し上がっていただければ」それでかまいません。
清和月吉日 献立
先附 龍髭菜酒盗浸し 畝鯨添え
椀 潮仕立 蛤道明寺 あおさ 猩猩人参 ブラックペッパー
造里 愛魚女洗ひ 初鰹焼霜 桜鯛 細魚 あしらえ一式
焼物 若鮎塩焼と諸子たれ焼 蕨の浸し
箸休 若竹煮
温物 新玉葱 丸と車海老の鋳込み
止肴 ロースステーキ海胆添え 白髪山和芋
食事 桜海老と田芹のご飯 浅利汁 香の物
甘味 春の蜜豆
献立のポイント
先附はアスパラと鯨を使った料理です。アスパラは武雄の大きめなものを歯ごたえ良く湯がいて酒盗で出汁をとったものでお浸しにします。鯨も同様に浸して味をのせます。マイクロトマトで少し色味を足しています。
お椀は千葉の蛤を二つ使います。殻は邪魔なので使いません。お椀にくっつかないように桜大根を敷き、道明寺を載せ上に酒蒸しにした蛤を乗せあおさを溶いた蛤出汁を張ります。吸い口はブラックペッパーを。あまり無駄な事をしてはいけない料理です。
お造りは鮎並の洗いからスタート。しこしことした食感と程よい脂が絶妙です。初鰹をはじめ春らしい魚でさっぱりとした感じでまとめています。
焼物は若鮎を三本塩焼きに、諸子は二本たれ焼きに。どちらも川魚ですがクセもなく味もくっきりしており、小さいながら自己主張の強い魚です。あしらえは蕨の浸しです。山菜の浸しは鮮度が勝負です。時間が経つと灰汁がまわりどうしても灰汁抜きの際に風味、味も抜けてしまいます。そのため朝取りのものを選びすぐに下ごしらえをして風味、甘味、少しの苦味を活かした浸しに仕立てます。正直、蕨の概念が変わる料理です。
箸休は若竹煮です。穂先の柔らかい所を少しだけ。焼物と温物を繋ぐ料理なので、量、味ともにあまり主張のない程度、出汁は少なめで仕立てます。
温物は車海老のミンチとすっぽんの身を新玉葱に詰めて味付けしたすっぽん出汁で蒸し煮込みにします。無駄に葱や生姜などを入れては台無しです。シンプルに三つの素材の味を引きだす、それだけです。「美味いと笑うしかないね、どうやって作ってるか全くわからんが」と言わしめた逸品です。
肉は塩、胡椒など一切せず焼いてカットしてから濃口醤油で和えます。青森産の大和芋を極細の千切りにして下に引き少しドレッシングを掛けます。上に肉、海胆を盛り付け針海苔を少し、おろし山葵を添えてお好みで使っていただきます。ドレッシング、醤油は最低限に抑えて、それぞれの素材のマリアージュを楽しんでいただく料理です。
ご飯は桜海老で炊いた後に、田芹を混ぜ込みます。どちらも淡い風味の食材ですが二つ合わさる事で力強い味になります。浅利は麦味噌でシンプルに。地味に満足感のある、というか無駄に説得力のある取り合わせです。
甘味は春らしい蜜豆をご用意いたしました。豆は蚕豆を百合根とともに蜜煮にし、羊羹、白玉餅、角切り苺とともに器に盛り込み三温糖で作った蜜を張ります。彩りも鮮やかですっきりした味わいの蜜豆です。
最近は筍も大きくなり「竹やんけ!」というくらい固いものが増えてきました。そろそろ初夏の雰囲気が漂ってきたと言う感じです。時間を見つけて野苺の自生地域の情報収集をはじめないといかん、と思う今日この頃です。
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