月別アーカイブ: 10月 2015

「菊かぶら|福岡、西中洲の和食、日本料理 ゆるり」

菊蕪。

秋、冬によくやる仕事だ。
剥き方的には「禿菊(かむろきく)」という秋明菊の別称が用いられ、「禿蕪」「禿芋」といった具合に使われる。もっとザックリした剥き方もあるが、出来る限り実際の菊に近付けたいので自分はかなり細かく包丁を入れる。見た目ほど難易度は高くないので栗ほど気は重くならない(笑)。

炊合せや風呂吹きなどの料理によく使われる食材でそのまま炊いたり、中をくり抜いて詰め物をしたりと重宝する。小さい物なら甘酢に漬けたりもできる。去年のお節は酢漬けにしたような気がする。

今年はくり抜いて炊いて、生のスモークサーモンを叩いて鋳込んでみようかと思っている。鋳込んで酢漬けの方法もあるが、お節は兎角、酢の物、煮物が多くなりがちなのでチョット変わった物を入れたいと思って試作をしている。いつも言うが「変わっていればいい」「面白ければいい」とは微塵も思わない、思えない人間なので試作して「まぁまぁ美味い」「食べられる」では採用しない。料理の本質は「美味いか、不味いか」しかないと思うので(店や商売の本質とは別物)失敗し、駄作になっても良いと考えている。

想像するに、蕪を炊く段階での蕪の香り、出汁の強さ、味付けのバランスが悪いと多分失敗するだろう。何度か試作を繰り返す必要があるのは言うまでもない。

毎年決まった献立でもいいのだろう。
ただ自分向きではない、何か物足りない。
新しい創作や古典料理の再考、自分が作った事のない料理に常に挑戦したい。

お節は一年のうちに作った「新作」とこれまでに積み上げた「自分のスタンダード」を共存させたものをお届けしたい。なので毎年献立が変わる。

ゆるりのお節はそんな感じだ。

追伸:ネタは大体固まった。後は仕入れ次第だな。

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