鮎を有馬煮とする。
やや小ぶりの鮎、12㎝位のもの。
まだスマートではあるがかなりの良品だ。
鮮度が落ちる前にサクッとやってしまおう。
この手の料理は色々なやり方があり、どれが正解とかはないので自分が上手にできるやり方を見つけるまでが大変。仕上がりの色とか、柔らかさとか、結構作り手の「こだわり」が色濃く現れる。
甘露煮の類ではあるが、自分は「有馬煮」が好き。これで「酒」もしくは「白飯」を馬鹿みたいにやるのがたまらない。日持ちも良いのでお弁当に入れたりもする。
では作って行こう。
まずはヒレをハサミで切り落とす。自分は邪魔だと考えるので先に落とす。その後焼き台で素焼きにして軽く干す。(東京の親方がやってたので)
一昼夜干したら鍋に並べる。水、酢、番茶を注いで柔らかくなるまで茹でる。圧力鍋でも良いのだが、自分は上手く使いこなせないので(いい塩梅のタイミングがわからない)普通に鍋に落し蓋。柔らかくなるまで水を足しながらじっくり炊く。
柔らかくなったら一度煮汁を捨て(ここは賛否両論あると思う。)水、酒、酢を少量入れ火にかける。
酢は調味目的ではなく、柔らかくするため。炊いていくと酸味は無くなる。一度沸いてから砂糖、味醂を足してさらに炊いていく。ある程度炊いたらそのまま鍋止めし、冷めるまで(自分は次の日まで)置いておく。次の日に再度火にかけ、水あめを足してからさらに炊く。有馬山椒、濃口を入れ煮詰める。煮詰まって来たら、砂糖、たまり醤油で味を調え、さらに詰めていく。あがりに酢と、酒を加え一沸きしたら出来上がり。
事細かに説明しようにもタイミングなどは言葉にできない。どれくらい焼く、とかどれくらい炊くとか食材によって全く違う。様子見ながらやれよって感じ。後はナレというか反復練習みたいなものでもある。
そのまま冷めるまで待ってからバットに綺麗に並べる。きちんと炊けば艶、照りもそれほど引けないし、冷めての柔らかく食べることができる。
作り手の特権で炊き立てを白飯に乗せて食べる。
秋刀魚や鯖の煮付けとはまた違った旨味。脂っ気はそれ程無いが、鮎独特の風味がたまらない。
昔から愛されている料理である理由を再確認。
だって「やたらと美味い」んだもん。
新しい挑戦も大切だが、スタンダードをきっちりと作ることもまた挑戦である。何事も基本や定番は大事だな。
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