「なまこの腸と卵巣」。市場でお会いしたのでつれてきました。
高級珍味「海鼠腸漬」、簡単に言えば塩辛をつくります。地味な下拵えをすれば後は勝手に美味しくなってくれます。塩辛の類は下拵えが命。ここで手を抜くと美味しくならない。
所々みえる黒い部分には「泥」が詰まっている。
あまり力をいれずに包丁でそっと泥を押し出し、
「一粒残らず」とって行き、取り残しが無いように
再度確認を行う。
腸の太さは1~2mm位で柔らかいため粗野に扱うと
細切れになってしまうため、集中といい意味での脱力は必須。後は塩水で軽く洗ってからざるで水をよく切って味付けをする。瓶詰めしてよく混ぜながら2,3日で味がなじんでくる。いい塩梅になるのは正直「このわた」しか分からない。毎日面倒を見ながら確かめることにしよう。
「手間がかかる」仕事は敬遠されがちだ。
酷い店はになると「刺身、何人前」と注文して、
持ってきてもらう店もある(事実だよ)。
よく言われる人材難や効率化の流れ的には
仕方の無いことだろうとも思うが、
客として食べに行くならあまり選びたいお店ではない。
そして、
「手間をかける」ことでしか表現できないこともある。
技術や知識の研鑽、失敗、成功の経験を積んで
初めて「美味しいもの」になる。
自分好み、自分が「美味しい」と思う味を作るなら、
「手間をかける」のが自分には向いている。
「美味しい既製品」や「便利な業者」を探し回るより、
手間暇かけて材料を選んだり、下拵えや仕込みに時間を使いたい。実際造れない物もあるが、安直に「出来合い」を使う選択肢は自分にはない。
何でも「手間をかける」事が一概には良いとは言えないが、「手抜き」よりは良いはず。
「効率化」という便利な言葉と「手抜き」は紙一重なのかもしれない。
あなたはどちらがいいですか?
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